PPL(カナダ自家用操縦士免許)取得までの道のり
こんにちは!がちろーです!
今日は、現在僕が取得を目指している "PPL(Private Pilot License, カナダ自家用操縦士免許)" の取得までの過程について書こうと思います!
PPL取得の具体的なステップは記事後半をご覧ください!
まず、PPLの説明について。
日本でも代替制度は同じだと思いますが、カナダではパイロットの免許がいくつかに分かれています。その一つがPPLです。
僕が知っている限りでは、PPL、CPL、ATPLなどがあります。
PPLは説明した通り、Private Pilot License の略で、自家用操縦士免許。4人乗り小型単発プロペラ機(C172など)までの飛行機で、かつ事業用ではなく自家用での操縦しか認められていない免許です。
次に、CPL。CPLは Commercial Pilot License の略で、日本語では事業用操縦士免許と呼ばれています。これは、その名の通り旅客の輸送など事業用での操縦に必要な免許です。自動車でいう第二種免許みたいな感じだと思います。
最後に、ATPL。Airline Transport Pilot License の略で、日本語では定期運送用操縦士免許または機長資格免許などと言われています。
この資格は、多くの人が憧れるいわゆるジェット機などの機長になるための免許だと認識しています。
(以上の説明は個人の勝手な解釈なので間違いがあったら教えてください...笑)
CPL、ATPLなどの免許取得のためには全員最初にPPLを取得する必要があります。
つまりPPLは自家用と書かれていますが、言い換えると仕事としてのパイロットになるために誰もが取得しなければならない第一段階という意味の免許です。
このPPL、ICAO (International Civil Aviation Organization)加盟国であれば日本の自家用操縦士免許への書き換えも可能です(もちろんカナダも加盟しています)。
また、自家用操縦士免許までは保持していても国内航空会社の自社養成コースに受験することもできます!
また、各免許にはRatingというものがあります。これは通常、天気の良い日の有視界飛行しか許可されていない限定免許に付け足していくものです。
Ratingには、Night Rating, OTT(Over The Top) Rating, IFR Rating, Float Rating, Multi-Engine Ratingなどがあります。
自動車でいうならば、牽引、中型、大型みたいなイメージかな...?
大型ジェット機になると機種によってまた違った免許が必要なのは驚きました。笑
以上がパイロット免許の種類、構成でした。(個人の推測がかなり含まれているので間違ってたらすいません笑)
・PPL取得までの道のり
次に、実際にPPLはどのようなステップを踏んで取得するのかについて書きます。
一応、最低基準としてカナダの法律では以下のように書かれています。
Division VI - Private Pilot Licence
421.26 Aeroplanes - Requirements
(1) Age
An applicant shall be a minimum of seventeen years of age.
(2) Medical Fitness
(amended 2007/12/30)
- (a) An applicant shall hold a Category 3 Medical Certificate valid for a Private Pilot Licence - Aeroplanes:
- (i) where an applicant holds a Category 4 Medical Certificate for the purpose of a Student Pilot Permit, the applicant shall upgrade to a Category 3 Medical Certificate prior to making application for the Private Pilot Licence - Aeroplane.
- (b) The licence is maintained by a valid Category 1 or 3 Medical Certificate.
(amended 2007/12/30)(3) Knowledge
An applicant shall have:
- (a) completed a minimum of 40 hours private pilot aeroplane ground school instruction on the following subjects:
- (i) Canadian Aviation Regulations,
- (ii) Aerodynamics and Theory of Flight,
- (iii) Meteorology,
- (iv) Airframes, Engines and Systems,
- (v) Flight Instruments,
- (vi) Radio and Electronic Theory,
- (vii) Navigation,
- (viii) Flight Operations,
- (ix) Licensing Requirements, and
- (x) Human Factors, including pilot decision-making; and
- (b) obtained a minimum of 60% in each of the following four mandatory subject areas as well as in the overall written examination Private Pilot Licence - Aeroplane (PPAER):
- (i) Air Law - regulations, rules and orders, air traffic services, practices and procedures, and licensing requirements relevant to the licence;
- (ii) Navigation - navigation, radio aids and electronic theory;
- (iii) Meteorology;
- (iv) Aeronautics - General Knowledge - airframes, engines and systems, theory of flight, flight instruments and flight operations.
(4) Experience
- (a) An applicant shall have completed a minimum of 45 hours private pilot flight training in aeroplanes under the direction and supervision of the holder of a Flight Instructor Rating - Aeroplane. A maximum 5 of the 45 hours may be conducted on an approved aeroplane simulator or flight training device.
(amended 1998/09/01)- (b) The flight training shall include a minimum of:
- (i) 17 hours dual instruction flight time, including a minimum of 3 hours cross-country flight time and 5 hours of instrument time of which a maximum of 3 hours may be instrument ground time; and
(amended 1998/09/01)- (ii) 12 hours solo flight time, including 5 hours cross-country flight time with a flight of a minimum of 150 nautical miles which shall include 2 full stop landings at points other than the point of departure.
(5) Skill
Within the 12 months preceding the date of application for the licence, an applicant shall successfully complete a flight test as pilot-in-command of an aeroplane in accordance with Schedule 3 “Flight Test for the Issuance of a Private Pilot Licence – Aeroplane” of Standard 428 - Conduct of Flight Tests.
(amended 2012/02/19)
とても長いですが、要点をまとめると、
・17歳以上
・航空身体検査カテゴリー3以上
・40時間以上の座学、かつ4科目筆記試験(法律、気象、ナビゲーション、航空)全てに合格(60%以上)
・45時間以上のフライト練習、かつ最終フライト試験に合格
というのが取得の条件となっています。
また、フライト練習はさらに細かく定められていて、
・教官とのフライト訓練最低17時間(最低3時間のクロスカントリー、5時間の計器飛行訓練を含める)
・3時間以上かつ最低150海里を飛行し2箇所以上異なる飛行場に着陸するクロスカントリーを含めた最低12時間のソロフライト練習
の条件を満たさなければなりません。
とは言っても、航空学校に入ればちゃんと教官がこの基準を満たすように訓練してくれるので、自分で訓練の計画を考えなくても大丈夫です。
さらに、ソロフライト訓練に入るためにはある程度の技術(離着陸など)と英語力などが必要なので、初ソロ前にROC-A, PSTAR, 英語能力テストに合格する必要があります。
(詳細は最後のほうに書きます!)
以上全てをまとめると、免許取得までのステップは以下のようになります。
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航空身体検査に合格
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航空学校を決め、入学
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フライト訓練と座学の開始
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ROC-A, PSTAR, 英語能力テストに合格し、ソロの許可を得る
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ソロフライト訓練
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クロスカントリー訓練
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計器飛行訓練
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座学終了、筆記試験に合格
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最終フライト試験に合格、免許取得!
意外と道のりが長いですね...笑
航空身体検査については以下の記事をご覧ください。
tiger-world-pilot.hatenablog.com
航空学校への入学については、最近のパイロット需要の高まりに伴ってかなり忙しくなってきているらしく、入学まで半年近く待つ学校もあると聞きました。
ここについては、各自で調べて最新の情報をもとに判断するようお願いします。
・フライト訓練のステップについて
フライト訓練は最低17時間の教官との訓練が必要と書いてありますが、よっぽどの天才かコックピットからの操縦に昔から慣れている人でないとこの最低時間でのクリアは難しいと思います。(個人的な見解ですが、、、笑)
なぜなら、もとから教科書ではステップが約20段階に分かれているからです。笑
各ステップ1時間で習得したとしても20時間はかかります。笑
ちなみに、ステップは以下のような感じです。
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基本空中操作
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水平飛行
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上昇
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下降
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ターン
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最長距離飛行、最大時間飛行
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低速飛行
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ストール
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スピン
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スパイラル
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スリップ
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テイクオフ
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サーキット
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アプローチ
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着陸
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ソロフライト
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ドリフト
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非常着陸
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ナビゲーション
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計器飛行
全くの素人が離着陸とか計器飛行を1時間で習得するのは絶対無理ですよね...笑
実際、法律でも計器飛行は最低5時間となっています。
学校のパンフレットにも、基本的に免許取得までに平均60~80時間のフライト訓練をしていると書かれていました。
だから、間違っても最低時間で免許を取得できると考えて費用の計算をしないようにししましょう!!
・座学について
免許取得のためにはもちろん座学も必須です。
パイロットとだけあって、内容も自動車とは違ってかなり量があるのでしっかりと勉強する必要があります。
また、この座学はフライト訓練を始める前に終了しても問題ありません。
むしろ、最初のフライト訓練前から筆記試験に合格していればフライト訓練でも要領よく学べると思うのでできるひとは入学する前からできるだけ早く座学の勉強を始めることをおススメします!
ちなみに、学校でも座学の授業が開講されているのですが、オンライン版もあるので自分の好きなほうを選択することができます!
オンライン版の価格は300ドル(約2万4千円)くらいだったと思います。
オンラインだと意味の分からない専門用語などもいちいち止めて検索しながらと、自分のペースで進めることができるのでお勧めです。
(僕がカナダで勉強しているオンライン版です↓)
各項目に対して、ビデオがついているのですが、全て見終わるのに毎日2~3時間ずつ見て丸2ヶ月かかりました。笑
範囲がかなり広いです!
エンジンシステム、気象関係、法律、フライトプランの書き方、人為的影響、飛行機操縦などなど、、、
また、もしフライト訓練が始まった際にはまず最初にROC-A, PSTARの勉強をする必要があります。
最終筆記試験との内容もある程度被るのですが、このためにも1~2週間程度勉強する必要があることを知っておきましょう!
・ROC-Aについて
ROC-Aとは、Restricted Operator Certificate with Aeronautical Qualification の略で、航空無線で喋るために必要な資格です。
ソロフライトでは絶対に自分ひとりで無線のやり取りもするので、ソロフライト前に必要な資格となります。
資格とはいっても、そこまで範囲が広いわけではなく、試験も50問4択式で70%以上で合格だった気がします。
問題自体もひねくれてるわけでもなく、ぱっと覚えてすぐ受けちゃいましょう。
僕の学校の場合は、学校内で試験官がいればいつでも好きなタイミングで受験できました。
費用も一切かからず、繰り返し受験することも可能なのでここで心配する必要はないと思います!
また、公式のスタディガイドもあるのでこちらを一通り読んじゃえば完璧です✨
https://www.ic.gc.ca/eic/site/smt-gst.nsf/vwapj/ric21-upd-oct-2011.pdf/$FILE/ric21-upd-oct-2011.pdf
・PSTARについて
PSTARとは、Pre-Solo Test of Air Regulations の略で、ソロフライト前に最低限の法律の知識を身につけるためのテストです。
そこまで範囲が広いわけではないのでフライト訓練が始まったらすぐに勉強を始めて合格しちゃいましょう✨
問題は、50問4択式で90%以上で合格だったと思います。
こちらもROC-Aと同様、無料で学校内であればいつでも再受験できるし、簡単な問題がほとんどなのでそこまで焦る必要はありません。
ただ、この範囲は最終筆記試験と内容が丸被りなので、PSTARに合格するためだけに覚えるというのは非効率な気がします。
実際にフライト訓練中でも法律は守らなければいけないのでただの暗記というよりしっかり身につける感じで勉強することをおススメします!
・英語能力テストについて
こちらは、航空無線をする際に必要な、話す・聞く英語力があるかどうかを確認される試験です。英語が母国語でない人たちが対象です。
試験といっても、別に面接するわけではなく、試験官に予約して、当日好きなところで電話して5分程度会話し、その録音をTC(Transport Canada)に提出して証明されるものです。
ただ、試験代として試験官に100ドル支払いました。(高すぎ、、、)
僕はたいして英語ができるわけではないのですが、日常会話程度なので特に対策することもなく合格することができました。
参考程度に僕がその試験中に聞かれたことの一部を覚えている範囲で書いておきます↓
・自己紹介
・なぜパイロットになりたいのか -小さい頃からの夢だった
・なぜカナダの航空学校を選んだのか -安いから
・好きな飛行機の機種はなにか -A350笑
・今までで乗った飛行機のなかでよかった飛行機の登録番号はなにか -TEX
・自分の航空学校のある空港のラジオのなかで覚えている周波数はあるか -グラウンド、タワーの周波数など
・自分の航空学校のある空港にはいくつの滑走路があるか -3本
こんな感じでした!
特に緊張した雰囲気でもなく、終始気楽におしゃべりする感じなのであまり心配する必要はなさそうです。
以上、長々と書いてしまいましたが、カナダでPPL取得するための道のりでした!
とはいっても、僕もまだソロフライト前なのでこの先どうなるかわかりませんが...笑
これからPPL取得を考えている方の参考になれば幸いです。
ではまた!